
No.25
特別研究員になってから8年が経過したが、(一社)日本温泉科学会関係の著書の編集委員長として、図説 日本の温泉 170温泉の科学(朝倉書店、2020)、日本温泉文献目録 第V集(2001-2010)(人間生活文化研究所、2020)、日本温泉文献目録第VI集(2011-2020)(人間生活文化研究所、2021)、(一社)日本温泉科学会監修 現代湯治 全国泉質別温泉ガイド(淡交社、2019)の出版、教養としての自然科学(サイエンス)-138億年の宇宙と生命、人類、社会(22世紀アート、2023)の上梓をしてきた。論文は黒湯温泉に関して4編の論文(温泉科学誌、2019, 2020, 2025)、南極の完新世における環境変動の論文(Quat. Sci. Rev., 1編、2024)を発表してきた。
現在取り組んでいるのは土壌圏を利用した環境浄化技術である土壌浄化法に関する「土壌圏と土壌浄化法」の出版(NPO日本土壌浄化法ネットワーク、2026)である。土壌浄化法は土壌中の汚染物質を処理するのではなく、土壌圏を利用してし尿や雑排水の浄化をする技術である。土壌浄化法に関する取り組みは毛管浄化研究会(1983-2004)に始まり、同研究会と大成建設(株)の共同研究で、大成建設の人工気象室で-30℃での実験により、土壌被覆型土壌浄化システムが北海道のような寒冷地でも問題なく稼働できることを明らかにし(Wat. Sci. & Technol.、1986)、北海道占冠村の土壌浄化システムの設置につながっている。
土壌浄化法は在野の農学者が開発した日本独自の汚水処理技術であり、土壌生態系のもつ独特の機能を汚水処理システムに適用した工法である。わが国では国交省と農水省認可の土壌浄化システムが、北海道から沖縄まで約45か所設置されている。土壌浄化法は市町村などで処理人数が1万人程度以下の小規模なシステムに向いており、数万人の市町村の場合は分割して設置することになる。汚水処理システムが土壌で被覆されているために、悪臭、病原菌の飛散、泡の飛沫などの二次公害を防止できる。土壌表面は芝生で覆われているため、市街地にも設置でき緑地公園のように活用できパーティや食事もできる。常時管理者を置く必要がなく維持管理が容易である。最近ではブータン国王直轄のゲルスン学園にも土壌浄化システムが設置されている。