巻頭言
巻頭言

人間生活文化研究の重要性

 人間生活文化研究所は「大妻女子大学人間生活科学 研究所」として、昭和56年(1981年)に設立されました。以来、当研究所が果たして来られた多大なご功績に対し、衷心より敬意を表します。また、研究費助成事業として戦略的個人研究費、共同研究プロジェクト、大学院生研究助成、研究員研究助成をはじめ、「科研塾」の開催による科研費獲得への支援やオンラインジャーナル、電子出版事業など、様々な研究支援に、心より感謝いたします。
 現代社会は、グローバル化や情報化の進展により、人々の生活はかつてないほどのスピードで変化し、文化や価値観のあり方も日々変化しています。AIをはじめとする技術革新の波は、産業構造や生活様式を根本から変えつつあり、同時に地球環境や社会的課題といった複雑な問題にも直面しています。このような時代において、大学研究所に求められる役割はますます重要になってきています。「人間生活と文化」を主題とする研究は、単なる学術的探究にとどまらず、人間とは何かを問う根源的な営みであり、よりよい社会のあり方を模索するために必要不可欠なものでもあります。
 本学に設置された「人間生活文化研究所」には、こうした問題意識のもと、多様な学問分野の融合を通じて、人間の営みの本質を多角的に捉える研究活動の展開を期待しています。また、本研究所のもう一つの重要な役割は、研究成果を社会へと還元し、現実の課題解決に資する知見を提供することにあります。地域との連携、国際交流、教育への波及など、その活動は多岐にわたり、今後の大学の社会的責任を果たすうえでも、大きな貢献が期待されます。
 本学としても、本研究所の活動を力強く支援するとともに、ここから生まれる知が新たな学びと対話を生み出し、豊かな未来社会の構築へとつながることを心より願っております。

 

市川博学長

大妻女子大学 学長

市川 博

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