本書はВ. И. ヴェルナッツキー（1863 – 1945）の代表的ないくつかの著作・論文10編を翻訳したものです。彼は地球化学者として知られていますが、その思考・実践活動範囲は、科学思想、科学哲学、政治にも及んでいます。彼は、地球化学を生物地球化学へと発展させ、科学としての生物圏の概念を確立しました。さらに人間が地球環境を改変している状況に気づき、生物圏から人智圏への移行を主張しました。本書がヴェルナッツキーの地球化学や生物地球化学の業績と思想の、理解の一助となれば幸いです。

田所　孝生