研究課題
科研費

学芸員養成課程で養成すべき教育普及活動に関する
コンピテンシーの明確化

研究代表者

高橋 舞

人間生活文化研究所 助手

研究種目
研究活動スタート支援
研究期間
(年度)
2021年(令和3年)2022年(令和4年)

 

 現在日本の大学には学芸員養成課程が設置され(全体の4割293大学)、毎年1万人もの修了者は博物館の館種(総合博物館、人文系博物館、自然系博物館)に関わらず専門職員(学芸員)として就業しうる資質・能力の修得が目標となっている。

 本研究では先行研究により、多様な博物館種に共通する学芸員の資質・能力として最も注目されているものの、未だその内実が明確でない「対市民教育活動=教育普及活動に関する資質・能力」に焦点を当て、その具体的な資質・能力要素を計量的に明らかにする。最終的には大学における学芸員教育の質的な向上と博物館が行う市民への教育普及活動に資することが可能である。

 いま世界では、近年のグローバル化や社会変化を背景として、誰もが社会構成員の一員として分け隔てられることなく、地域であたりまえに存在し、生活することができる社会の実現に取り組んでいる。このような社会において共通する価値観、態度、コミュニケーションスキルを育むための教育への関心が高まっている。こうした中で、社会教育施設として生涯学習・成人教育を担っている博物館の教育普及活動に期待が寄せられている。

 市民教育への社会教育施設としての博物館の役割は、日本において特に重要である。なぜなら、近年日本で多様性が一般的に受容される以前に学校教育を受けた世代が多くいるためだ。そして、この世代の人々からより若い世代への影響力を考慮すると、時勢に伴う市民教育が必要とされている。

 本研究では、以上のような背景を踏まえ、博物館共通の業務であり、現在博物館が一番力をいれている「教育普及活動」における学芸員が有すべき資質・能力を明らかにしていく。「教育普及活動」で必要とされる資質・能力がわかることで、今後の学芸員養成課程で網羅すべき最低限の資質・能力を養成することができると考える。ひいては学芸員一年目でもOJTに頼らずとも業務にあたれるレベルの学芸員を養成することが期待できる。

 

 
 

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