【平成31年度(2019)】
大妻学院 創立110周年 人間生活文化研究所記念事業
大妻女子大学博物館―特別展
東南アジア狩猟採集民の生活と子どもの発育発達 ~文明は人の身体から何をうばうのか~

2019/03/04

 

本展覧会は開催を終了いたしました。

ご来場いただきました皆様に心より御礼申し上げます。

展覧会概要

私たちは地球上のどこにでも出かけて行き、いつでもどことでも通話できる文明の恩恵を享受しています。しかしこの地球上には、文明社会の片隅で時間が停止したように、1万年前とほとんど変わらない生活を続けている狩猟採集民も存在しています。それは、私たちの祖先の旧石器時代とも重なるライフスタイルです。

彼らは、今でも農耕や牧畜を行わず、法律や教育、医療・公衆衛生、通信などシステムを知らず、文明の恩恵に浴さないまま、歴史の外側でひっそりと生き続けてきました。深い森や山奥、あるいは洋上に点在する小島など人目につかない環境に身をおき、危険を感じたら迅速に姿を隠すことで生き長らえてきたのです。

本展では、このような現存する狩猟採集民のなかから、東南アジアに焦点をあて彼らの ライフスタイルを、現地調査と資料収集の成果をもって紹介します。

また、このような環境で暮らす子どもたちは、現代日本人とは身体の発育や技術習得の過程が異なることが判明しました。そこで、こともの発育発達にも着目した展示を行います。

この展示は、科研費を受けての12年間の研究成果の社会還元の一環とするもので、また大妻学院の創立110周年にあたっての、人間生活文化研究所の記念事業として企画されたものです。

後援 駐日ミャンマー連邦共和国大使館

図録で見る博物館展示

半年にわたり、人間生活文化研究所が主催した特別展「東南アジア狩猟採集民の生活と子どもの発育発達」にはおかげさまで多くの方々にご来場いただきました。大変ありがとうございました(大妻女子大学博物館来館者統計2,579人1日平均22人)。終了後も、この図録をご覧いただき、サロンやムラブリの人々の生活に思いを馳せていただくことができれば幸いです。図録に掲載されている展示資料の写真は、写真家淺岡敬史氏によるものです。現資料とはちがったおもむきをお楽しみください。

https://www.ihcs.otsuma.ac.jp/ebook/book.php?id=66

*図録の写真をお願いした写真家

淺岡敬史さん(1950年生まれ)

主な著書

「ヨーロッパ陶磁の旅」(中央公論新社)、「ヨーロッパ陶磁の旅物語」(グラフィック社)、「ヨーロッパ洋食器の旅」(リブロポート)、「南仏プチホテルの旅~プロヴァンス編~」(東京書籍)、「フランスの職人たち」(東京書籍)ほか多数。

淺岡敬史 冩眞文庫 更新中
URL https://jpmuseum.com/about.html

展覧会は海を越えて

ミャンマー国営放送局よりミャンマー全国に放送されました

開催期間中にはNHKワールドジャパンの取材があり、その内容は2019年9月1日、8日に日本とミャンマーで放送されました。これらの放送は2020年9月8日までアーカイブでご視聴いただけます。

■ 9月1日 放送分
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/my/radio/listener/201909010600/

■ 9月8日 放送分
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/my/ondemand/audio/listener-20190908-1/

 

 

見どころ

今回の展覧会で紹介するのは、ミャンマー連邦共和国のアンダマン海の洋上で生涯を過ごすサロン人(モーケン人)と、タイ王国ナーン県の山地を遊動してきたムラブリ人(ピートンルアン=黄色い葉の妖精)です。

サロン人については、ミャンマー国内の調査が不可能であったために、今日まで科学的なデータの蓄積はありませんでした。私たち以外に調査隊は入っておらず、今回の展示が世界で初めての資料展示になります。

一方のムラブリ人は、近年定住化が進んでいます。ここでは、移動民が定住化の過程で、環境にどのように適応してゆくのかという、学術的に非常に重要な問いの解明に期待が寄せられています。

ムラブリ人バナナの家の再現模型

 

更に、狩猟採集から定住の段階に進んだ山地民として、ミャンマー最奥部のカヤー州に住むカヤン人についても紹介します。カヤン人は、一般には首長族として知られる、首輪や足輪を装着する人体変工を生涯にわたって行なう、大変珍しい文化をもつ民族です。

本展では、視力6とも言われ、数分間の潜水で海底を歩き4m近い銛を自在に操る彼らの、驚くべき身体能力を物語る様々な実物資料を展示するとともに、ムラブリ人の現地俗称「ピートンルアン=黄色い葉の妖精」の元となったバナナの家の実物大再現展示を行います。

関連企画 講演1 日本発育発達学会第17回会長講演

アジアの山地民、狩猟採集民のこどもはどのように育つのか
-発育発達科学研究の45年-
演者
大澤清二(大妻女子大学人間生活文化研究所前所長・前副学長)
日時
2019年3月9日(土)10時~11時45分
場所
大妻女子大学A棟150室(東京都千代田区三番町12)
会費
無料
問合せ先
03-5275-6047

関連企画 講演2 大妻女子大学図書館ラーニングコモンズイベント

将来の日本人の身体はどうなるのか
-狩猟採集民、山地民の生活から日本人の未来を予想する-
演者
大澤清二(大妻女子大学人間生活文化研究所前所⾧・前副学⾧)
日時
2019年4月10日(土)13時~15時
場所
大妻女子大学図書館(東京都千代田区三番町7-8)
問合せ先
03-5275-6047

開催案内

会期
2019年3月4日(月)~8月4日(日)
※8月4日まで会期延長しました
日曜日・水曜日休館
(ただし、6月9日、7月14日、8月4日は開館)
開館時間
10時~16時30分
入館料
無料
会場
大妻女子大学博物館
東京都千代田区三番町7-8
大妻女子大学図書館棟地下1階(九段小学校前)
03-5275-5739
アクセス
R総武線「市ヶ谷駅・地上改札口」より徒歩10分
東京メトロ有楽町線・南北線、都営地下鉄新宿線
「市ヶ谷駅・A3出口」より徒歩10分
東京メトロ半蔵門線「半蔵門駅・5番出口」より徒歩7分
東京メトロ東西線「九段下駅・2番出口」より徒歩12分

アクセスマップ