巻頭言
巻頭言

人間生活文化研究所への期待

 「人間生活文化研究所」について、その成立の経緯についてはよく知りませんでした。この原稿に依頼を受けて、初めてそれが判ったという次第です。
 かつて狭山台キャンパスがあったころ、入構してすぐの所に「人間生活科学研究所」という建物があり、これがその出発の場所であったということです。その後、千代田キャンパスに移転し、2008年に「人間生活文化研究所」と名称変更し、現在に至っているとの話で、漸く2つの組織が私の頭の中でつながりました。しかし、「人間生活科学研究所」では当初は被服・児童の専攻分野での研究がなされ、後に食物学も加わり盛んに研究が行われ、大学院組織としても博士号の学位の授与など行っていたとのことで、文学を専攻する者としては全く縁が無いのも当然のことでした。
 「人間生活文化研究所」と名称変更されてからは、従来の機能に加えて、研究助成機関としての機能、即ち科研費の申請に当たっての申請書の書き方のサポート、学内共同研究プロジェクトの募集、戦略的個人研究費の募集、オンラインジャーナル『人間生活文化研究』の発行、大学院生への補助など、家政系に止まらず、広く学内全体に目を向けた活動を行う拠点としての機能が備わったということで、他学部の目にも触れる機会が大幅に増えたという訳です。
 特に科研費、戦略的個人研究費については関心が高く、戦略的個人研究費申請のための申請書作成で培った技量で科研費も申請する。その申請の仕方について研究所がサポートを行うということで科研費の採択率も向上していったとのことで、教員個人にとっても有難い話であると共に大妻女子大学にとっても栄誉が増すという好循環が出来ていると思います。教授会においても科研費、戦略的個人研究費については採択者を報告し、更なる申請への奮起を促している所です。
 こうした研究振興の機能も今後共、大いに充実させて行かれることを期待しております。

文学部学部長 増野弘幸

大妻女子大学文学部 学部長

増野 弘幸

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