特別研究員

近代日本のメディアにおける彙報欄の研究
宮沢賢治研究

大妻女子大学人間生活文化研究所 特別研究員
大妻女子大学名誉教授
杉浦 静

大妻女子大学名誉教授 杉浦 静

 1976年に東京教育大学大学院日本文学専攻修士課程を修了。東京教育大学大学院日本文学専攻の最後の修了生。主たる研究課題は、宮沢賢治の草稿研究。2023年10月に主として詩・短歌の草稿に関する研究を『宮沢賢治 生成転化する心象スケッチ』(文化資源社)にまとめました。現在は、賢治晩年の少年小説(銀河鉄道の夜・風の又三郎・ポラーノの広場・グスコーブドリの伝記)及び「セロ弾きのゴーシュ」の生成過程を研究している。これらの少年小説・童話は1931(昭和6)年から33年(賢治の没年)にかけて、初期形・先駆形から大きく改稿・改作されていった。これまで、この時期の「黒インク手入れ」と言われる推敲ばかりが注目されてきたが、たとえば「セロ弾きのはなし」から「セロ弾きのゴーシュ」が成立してゆく際のブルーブラックインクによる大規模な推敲・改作も、「黒インク手入れ」と同様の性格のものであることを明らかにした。そして、これらのテキストの改稿・改作の時期と順序をほぼ明らかにするとともに、その改作改稿の動機が雑誌『児童文学』(文教書院)への寄稿にあったとの説を提出した。これらをふまえて、目下、改稿・改作によってどのように作品世界が変質していったかを草稿における推敲の分析を中心に考察している。
 もう一つの課題、「近代日本のメディアにおける彙報欄の研究」は、科研(22K00350)「「よみうり抄」のテキスト化と研究利用に関する総合的研究」として共同研究推進中。「よみうり抄」は、明治時代から継続して読売新聞に掲載された文芸・文化を中心とする彙報欄であるが、本課題では、主として大正期の「よみうり抄」を研究対象としている。現在は、大正期の「よみうり抄」をテキスト化するための、諸問題について検討すると同時に、テキスト化の作業に取りかかっている。テキストデータとして活用するための校訂の方法等について、試行錯誤中。

 

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