巻頭言
巻頭言

社会から熱望された家政学系大学院博士課程の誕生

 人の生活に関する諸問題の基礎的・科学的な研究と、その成果に基づく実践的な研究を行い、優れた研究者を育成するため、1981年「大妻女子大学人間生活科学研究所(現在の人間生活文化研究所)」が設立された。設立の目的は、東日本では嚆矢となった家政学系の大学院博士課程を設置するにあたり、基盤となる研究教育組織を設けることだったとある。確かに、当時は、家政学系の大学院博士課程は僅少であり、博士の学位取得は手が届かないと諦めていた夢が一歩近づき心が弾んだことを思い出す。大学院博士課程(被服環境学専攻)の設置ということで、他大学からも熱い眼差しが注がれ、本学に多くの研究者が集った。その後、被服分野以外にも門戸が開かれ、食物分野での学術博士の学位(論文博士)も授与されるようになり、大妻の一歩が社会に大きな貢献をすることになった。

 現在の人間生活文化研究所では、研究者を支援するために多くの活動がされている。研究費助成事業として、(1)戦略的個人研究費 (2)共同研究プロジェクト (3)研究員研究助成 (4)大学院生研究助成、競争的外部資金の獲得支援に関する事業として、(1)外部資金情報データベースシステム (2)競争的外部資金申請に関する相談が行われている。審査の評定要素は「科学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程」に準拠していることから、これらに応募することで研究計画の立案と申請書の作成を通じて学内外の研究資金、科研費等を取得する際に参考になることが多く、非常にありがたい事業である。

 人間生活文化研究所は、発足当初の設立の目的を果たし、家政学系大学院博士課程として被服から始まった分野を広げ多くの研究者を輩出し社会に貢献している。現在も、研究者を支援するために多くの活動がされており、電子出版事業であるオンラインジャーナル『人間生活文化研究』には、毎号、幅広い分野から投稿されており、本学の教員だけではなく、学外の研究者からの投稿も多い。このように本研究所は、学内外に対して極めて重要な役割を担っていることから、さらなる飛躍を期待しています。 

大妻女子大学短期大学部 学部長

下坂 智惠

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