研究課題
科研費

最新科学データを⽤いた⽴体天⽂教材の開発

研究代表者

下井倉 ともみ

社会情報学部 准教授

研究種目
基盤研究(C)
研究期間
(年度)
2022年(令和4年)2024年(令和6年)

 

 「宇宙」と聞くと、皆さんはどのようなことを想像しますか?広くて大きいイメージでしょうか。または、きれいな夜空や天体画像を思い浮かべる方も多いでしょう。もしくは、漠然とした憧れのような気持ちを抱く方もいるかもしれません。

 様々な観測装置の発展により、私たちの宇宙の姿は日々更新されています。金星のスーパーローテーションの加速機構の原因解明、ブラックホールの姿に迫る成果、銀河系を含む超銀河団の地図の更新など、最新の観測結果は私たちに数多くの新知見をもたらしています。ごく最近では、南米チリに建設されたアルマ望遠鏡によって、太陽系外に位置する誕生したばかりの星の周囲にて衛星形成の現場が捉えられました。これは、私たちの住む太陽系の成り立ちと月の形成を理解する上で重要な結果です。このような最新成果は、学生にとって宇宙への視点を大いに広げる機会を提供することでしょう。

 天体と地球の関係や宇宙の現象を理解するためには、空間認識力・科学的思考力を必要とします。これらは問題解決力に直結するため、天文学を利用すれば、学生に問題解決の力をつけさせることができます。しかし、宇宙の理解は難しいと考える学生も多いようです。この要因としては、「宇宙」は、扱う時間と空間の範囲が日常生活に比べ非常に広大であるために認識し難いことが挙げられるかもしれません。また、対象とする天体や地球を直接手にとって観察できないこともその一因かと思われます。

 既存の天文教材は、天体画像やイラストを用いた2次元の解説資料が主です。しかし、2次元の情報のみでは、天体画像の美しさで学習者を惹きつけたとしても、空間的な位置関係や、見た目の美しさの先にある科学的な理解まで到達させることは困難です。このままでは、学生にとってはいつまでも「宇宙の理解は難しい」が続くでしょう。また、身近な天文情報としては可視光による光学画像が主ですが、学生には、様々な電磁波の観測によって天体の性質や宇宙を総合的に理解できることを伝えることが重要です。そこで、本研究では、様々な観測装置によって得られた様々な波長での最新の天文学データを解析し、それらを基にして宇宙の現象に関する、手にとって観察することのできる立体(3次元)教材を開発します。

 今後、宇宙の姿はさらに更新されていきます。本研究によって最新の研究成果を基に宇宙の中の私たちの位置を学生に理解させることができれば、人類と地球の持続可能性を宇宙的視点から考えさせることもできると考えています。

 

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