研究課題
科研費

「障害のある外国人児童の就学支援プロセスに関する質的研究」について

研究代表者

鳥海 順子

人間生活文化研究所 特別研究員

研究種目
基盤研究(C)
研究期間
(年度)
2026年(令和8年)2030年(令和12年)
鳥海順子先生

 


 少子高齢化の進む我が国では労働力不足が深刻な課題となっており、国の政策として外国人労働者の受け入れを拡大してきました。そのような中、母国から親とともに来日する子供たちだけでなく、日本で生まれ育った外国人の子供たちの数も増加しています。国際化や共生社会を目指す我が国にとって、多文化の懸け橋となる外国人の子供たちへの教育は重要ですが、外国人の保護者には子供を就学させる義務が課されていません。就学を希望する場合には、国際人権規約等により日本人と同様、無償で教育を受けさせることができますが、外国人の子供の約1割が不就学者であり、特別支援学級の在籍率が日本人の2倍超であるなど憂慮すべき事態も生じています。発達の遅れが疑われる外国人の子供の場合、日本語能力の影響によるものなのか、障害によるものなのかを見極めることは非常に難しく、発達評価の困難性、生活文化の違いによる支援上の問題、親とのコミュニケーションバリアなどが指摘されています。このような事態に対し、文部科学省も就学促進への指針を示したり、先進的な取組をしている実践事例を紹介したりしていますが、その多くは手続きや体制づくりに関する内容にとどまっています。本研究では、表面的な取組だけでは見えない、外国人保護者の内的な変容、例えば、多様な人々との関わりや経験を通して就学への向き合い方にどのような変化が生じていたのかなどに着目します。研究の目的は、障害のある外国人の子供の就学に至るプロセスを質的研究によって理論化し、外国人保護者に寄り添った就学支援のプロセスモデルを提案することにあります。具体的には、障害のある外国人の子供の就学の問題を、当事者が周囲との関係の中でどのように解決していったのかについて、TEA(Trajectory Equifinality Approach「複線径路等至性アプローチ」)を用いて質的に明らかにします。多様な事情を抱える外国人保護者が、障害のある我が子の就学先を選択するプロセスを周囲の支援との関係の中で明らかにすることは、今後、外国人保護者への適切な支援を実現するために非常に大きな意義があると考えています。
 最後になりましたが、科研費交付申請に係る計画調書作成にあたり、本学研究支援室並びに本研究所の皆様からお力添えをいただきましたことに心より感謝申し上げます。

 

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