
No.26
蘇 暁娜
人間共生学部福祉学科 助教


近年、独居高齢者の増加に伴い、社会的孤立や孤独死が深刻な社会課題となっている。その解決に向けては、ソーシャルワーカーなどの専門職によるアウトリーチ的な支援が重要である。しかし、専門職だけでは地域のすべての高齢者に継続的に関わることには限界がある。そこで本研究では、制度や専門職の枠組みを超えて高齢者の社会参加を支える「地域型リンクワーカー」に着目する。
地域型リンクワーカーとは、地域福祉推進員など、地域に根差した立場から住民同士をつなぎ、社会参加のきっかけづくりや継続的な関係形成を支援する住民主体の担い手である。イギリスの社会的処方のプログラムにおいて、医療者からの依頼を受けて地域活動とマッチングさせる「リンクワーカー」が重要な役割を担っている。一方、日本では生活支援コーディネーターがその役割を部分的に担っているものの、現行の生活支援コーディネーター制度においては、福祉専門職が他業務と兼務する形で配置されており、制度的・専門的枠組みに基づく支援となりやすい。そのため、住民主体で活動する地域型リンクワーカーがどのように高齢者の社会参加を支え、社会的孤立予防に寄与しているのかについては十分に明らかにされていない。
本研究では、高齢者の社会参加活動を促進する過程において、地域型リンクワーカーがどのような認識や判断に基づいて支援を行い、いかなる実践を展開しているのかを明らかにすることを目的とする。研究方法としては、地域型リンクワーカー的な人材を対象に半構造化インタビューを実施し、その実践プロセスを質的に分析する。これより、高齢者の社会参加を促進する住民主体の支援の特徴を明らかにするとともに、専門職による支援では補いきれない部分をどのように補完しているのかを検証する。
最終的には、住民主体による孤立予防・社会参加支援モデルを提案し、地域共生社会の実現に向けた新たな地域支援のあり方を示すことを目指す。