研究課題
科研費

冷戦期、太平洋地域におけるアメリカ軍事・⺠間航空政策に関する研究

研究代表者

高田 馨里

比較文化学部 教授

研究種目
基盤研究(C)
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2026年(令和8年)
⾼⽥ 馨⾥

 

 21世紀においても、世界の空の秩序はアメリカ中心といえるでしょう。たとえば、本州には横田基地管制区間である横田ラプコンといわれる広大な空域が設けられており、日本の民間航空の飛行ルートは大きな制約を受けてきました。今回採択された研究課題は、太平洋地域におけるアメリカ合衆国の軍事・民間航空政策に焦点を当て、日本を含む太平洋地域の航空秩序の構築過程とその変容を明らかにしようというものです。
 第二次世界大戦後の民間航空の再開を概観しておくと、アメリカ主催の1944年11月のシカゴ国際民間航空会議と1946年2月に結ばれた米英二国間航空協定(バミューダ協定)が国際民間航空の端緒となり、その後、米欧諸国の間で二国間航空協定が結ばれました。冷戦による東西の緊張が高まると北大西洋条約機構が成立し、駐留米軍と西側諸国の空軍や各国の民間航空会社の調整が必要であるとして、1950年代初頭に空域管制の検討が始まり、以後、軍事民間航空の調整が行われています。一方、太平洋空域における米軍優先の航空秩序については、まだまだ明らかにすべきことが山積しています。
 本研究は、1945年から1974年の「フライ・アメリカ法 」成立過程までの太平洋地域におけるアメリカ航空政策を、民間航空の軍事動員問題を軸に分析するものです。朝鮮戦争やヴェトナム戦争における民間航空会社の軍事動員は、アメリカの民間航空会社が直面していた慢性的な輸送力過剰問題を解決する一方、動員解除は経済的打撃につながったと考えられます。本研究によって、先行研究では十分に検証されてこなかった冷戦期におけるアメリカの民間航空の軍事依存の実態が明らかにされ、1978年の米国航空規制緩和法にみられるアメリカ航空政策の転換と民間航空会社の再編過程の解明が期待できるのです。

 

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