研究課題
科研費

戦間期のポーランド共和国(1918-39 年)における言語政策の研究

研究代表者

貞包 和寛

家政学部 ライフデザイン学科 専任講師

研究種目
特別研究員奨励費
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2024年(令和6年)
貞包和寛

 

 2023 年度 4 月より家政学部ライフデザイン学科に着任した貞包和寛と申します。専門は社会言語学で、特にポーランド共和国の言語政策、少数者政策を研究しています。
 今年度より採択された科研費は、私の学振特別研究員 PD の採用期間における研究を引き継ぐものです。幸いなことに今年度より制度が変更となり、PD 採用期間中に常勤職を得た場合でも、引きつづき助成を受けることが可能となりました。本研究と関連する成果として、昨年度末に論文を出版いたしましたので、以下よりご覧いただければ幸いです。

「戦間期ポーランドの「クレスィ諸法」について ――第一次世界大戦後の国際秩序の枠組における少数者保護――」『上智ヨーロッパ研究』(14)、pp. 5-26、2023 年
参照:https://digital-archives.sophia.ac.jp/repository/view/repository/20230316001

 

 本研究は、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の 20 年間(戦間期)に存在したポーランド国家の言語政策の体系を明らかにするものです。当時のポーランドは、人口の 3 割を非ポーランド系市民が占めており、ヨーロッパ最大の多民族国家でした。なかでも、ウクライナ人(当時は「ルシン人」と呼ばれることもありました)、ユダヤ人、ベラルーシ人、ドイツ人などの人口は多く、これらの少数者は国政にも影響を与えうるほどの強力な政治的グループを形成していました。
 その一方で、いわゆる三国分割から国土を回復したばかりの国家においては、排他的な思想を持つポーランド民族主義も強力に存在しており、当時のポーランド国家では少数者とポーランド人の対立がときに暴動、テロリズムの形をとって現れることもありました。
 こうした多くの民族的・言語的集団の利害調整を行う中で、当時のポーランド共和国の言語政策は極めて複雑なものとなっていったのですが、この時期のポーランドの言語政策は本国でもそれほど深く研究されているわけではありません。本科研を活用し、戦間期ポーランドの言語政策の実態が少しでも詳しく明らかになるよう努めたいと思っております。

 

 本科研費を皮切りに、本学の研究活動の活性化に少しでも役立つことができればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

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