研究課題
科研費

モバイル顕微鏡を⽤いた新たな海洋教育実践例の提案

研究代表者

細谷 夏実

社会情報学部 教授

研究種目
基盤研究(C)
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2025年(令和7年)
細谷夏実

 

 地球温暖化や海洋酸性化、海洋プラスチックの問題など、海が抱える環境問題は山積してきています。国連が提唱している「持続可能な開発目標(SDGs)」の17のターゲットにも、「海の豊かさを守ろう」という目標が掲げられており、海の環境問題は世界的な課題としても認識されています。問題を解決するためには、海に対する関心、知識を深め、さらに解決に関わる人材を育成する「海洋教育」が重要です。
 文部科学省は2016年の海の日に、2025年までに全ての市町村で海洋教育が実践されることを目指すと宣言しました。しかし、教育現場における海洋教育の普及は遅々として進んでいないのが現状です。原因の一つとして、学校現場がすぐに取り組めるような教育実践例が少ないことが挙げられます。初等中等教育に携わる学校の多くは、海から遠い、あるいは海のない県の学校であり、海洋教育の実践経験者もおらず、近隣に活動の連携先もないというのが現状です。
 本研究では、こうした状況に鑑み、教育現場で取り入れやすく、かつ子どもたちが主体的に取り組める新たな海洋教育の実践例を提案することを目指します。具体的には、海から遠い学校でも入手できるような海産物を題材とし、学校内(理科室や教室)での観察を基本とした授業実践例を創出したいと考えています。さらに、子どもたちの主体的で体験的な学びを創出するため、モバイル顕微鏡を活用することを提案します。2019年のGIGAスクール構想を受け、小学校には一人1台のタブレットが整備されてきました。本研究では、このタブレットのカメラ部分に装着して使用するモバイル顕微鏡を用いて、タブレットを海洋生物の観察用機器として使用します。簡便に観察像を得て、それを撮影、保存、共有することができるモバイル顕微鏡を活用し、日常では出会わないミクロの世界の観察・発見をするという経験は、子どもたちが海への関心や興味を抱き、知識を深めようとすることにつながると考えます。
 また、本学は石川県の穴水町と2018年から包括連携協定を締結しています。私たちは2015年から穴水町で取り組みを行ってきており、本研究も穴水町の小学校を主なモデル校として行います。私たちは今後も、穴水町を研究の場として、海洋教育の実践と普及に携わっていきたいと考えています。

 

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