研究課題
科研費

日本人の共生意識に基づいた子育て・子育ちのための共生型集住に関する研究

研究代表者

大橋 寿美子

社会情報学部 教授

研究種目
基盤研究(C)
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2025年(令和7年)
大橋寿美子

 

 家族の小規模化や近隣との交流の希薄化、さらにコロナパンデミックによって、家族や近隣関係のなかにあった子育て・子育ちの機能が著しく低下している。安心して生み育て、豊かな人間性や社会性を育む子育て・子育ちのための居住環境の再構築は、我が国の喫緊の課題である。
 これまでの一連の共生型住宅の研究において、居住者間の日常的な家事機能の協力関係を持った共生型集住の一つであるコレクティブハウスが、安心感と居場所の選択性がある子育て・子育ち環境になりうることを検証した。しかしながら我が国ではわずかな事例しか存在せず、住宅の選択肢の一つになり得ていない。またさらに、共働き家族の役割分担の負担感、子どもの成長後の居住問題などのコミュニティの持続性に関わる課題が散見される。
 共生型集住には、コレクティブハウスの他にシェアハウスやコウハウジングなどがある。中でもコウハウジングは北米や北欧を中心に展開され、子育てのための良好な運営事例が多くみられる。コウハウジングは居住者がニーズに合わせて柔軟に協力関係を築き、また個々の戸建て住宅群とコモン棟をもつなど多様なスケールと集住形態による、協働の住宅運営・管理をもつ共生型の住宅である。
 そこで本研究は、コウハウジングを研究対象として、日本および海外の先進事例の実態を日常の生活行為の共同性と集住形態の対応関係から分析し、日本人の子育て世代の共生意識に基づく、子育て・子育ちのためのゆるやかな共生型集住の複数パタンの提案を試みる。
 具体的には以下の項目に取り組む予定である。
①シェアハウスやコレクティブハウス、コウハウジングなどの共生型集住の各住宅タイプの位置づけ(日常的な生活の共同性と集住形態)を明確にし、 コウハウジングの定義をつくる。 ②日本の良質な子育て・子育ちのためのコウハウジング事例の現況を整理する。 ③子育て・子育ちのためのコウハウジングの先進事例(日本・北米)の共生実態把握から、 コウハウジングの生活の共同性と集住形態の関係を分析し類型化する。 ④日本人の子育て世代の共生意識を把握する。 ⑤日本人の共生意識に基づく子育て・子育ちのための複数の共生型集住パタンを提示する。
 このように日本型のゆるやかな共生型集住の提案により、安心できる子育て・子育ち環境の構築を目指す。また共生型集住の事例集を作成し公開し、発信していく予定である。

 

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