研究課題
科研費

教科・科⽬横断的な統計教育の実現に向けた基礎的研究:教科書分析を通して

研究代表者

大谷 洋貴

家政学部 専任講師

研究種目
若手研究
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2025年(令和7年)
大谷 洋貴

 

 現代社会はデータで満ちています。統計的な知識を用いてデータを適切に取り扱うことは今日的なリテラシーの一角を占めているといってよいでしょう。COVID-19はそのリテラシーとしての重要性をより鮮明に突きつけたように思います。これからの社会において,統計教育は最も重要な主題であると言っても過言ではありません。
 学校教育において,統計的な知識や活動は主として算数・数学科で指導されることになっていますが,それ以外の様々な教科・科目でも目にすることができます。国語科や社会科などで扱われる新聞や資料集には多様な統計グラフが載っています。理科での実験はデータ処理と切り離せません。高等学校では,数学や数学Bにおける統計指導は情報などの他の教科・科目と連携することが推奨されています。総合的な探究の時間や理数探究などの探究活動においては仮説を検証したりデータを収集したりする機会があるかもしれません。
 にもかかわらず,こうした様々な教科・科目で現れる統計的な知識や活動は相互に関連付けられておらず,一貫性のない統計教育カリキュラムになってしまっているのが現状です。統計指導は算数・数学科に任されており,教科や科目を越えたレベルでの組織化がなされているとは言い難い状況にあります。確かにこれは各学校や学校現場で働いている先生方のカリキュラムマネジメントによって部分的にはアプローチできるかもしれません。しかし,教科や科目を関連付けるための情報や資料が決定的に不足しているため,このことは容易ではありません。そもそもリテラシーとして指導するという観点からみれば満足のいく状況とは言えません。
 本研究は,教科・科目横断的な統計教育を実現するために,現状の理解とその結果に基づいたカリキュラムの検討に取り組むことを企図しています。とりわけ学習指導要領の具体としての教科書に注目して,各教科・科目における統計教育の現状を確認します。教科書の記述は実際の授業展開と必ずしも一致しませんが,それでもそこには典型的な授業展開が記載されており,授業設計のための主たるリソースとして解釈することができます。教科書を手掛かりに各学校種の各教科・科目においてどのような統計的な知識や活動がどのように位置づいているのかを明確にすることを通して,教科・科目横断的な統計教育カリキュラムを検討します。

 

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