研究課題
科研費

項目反応理論の応用による民族服製作技術文化保存のための最適学習過程の探究

研究代表者

下田 敦子

人間生活文化研究所 准教授

研究種目
基盤研究(B)
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2026年(令和8年)
下田敦子

 

 従来、東南アジアにおける伝統民族服に関する研究は、モノとしての服に焦点が当てられがちで、製作技術の保存、継承に関する研究は第二次的であった。域内の博物館では多様な少数民族服を保存し展示しているが、民族服の製作技術に関する詳細な知識は殆どの民族について蓄積されていない。更に近年では民族服の技術保有者が全域的に激減しており、いずれの国も貴重な民族文化の喪失を危惧している。課題代表者らによるこれまでの調査では、多民族国家ミャンマーでは既に半数以上の民族は民族服製作過程の重要な製作段階の技術自体を消失している。唯一残されている技術保存方法として、学校教育における職業教育で対応することが考えられるが、殆どの民族は無文字社会故に、文字資料や製作過程のマニュアルもないことが障害となる。本研究では、これまでに収集した同国72民族の製作技術の詳細なデータを基礎にして、項目反応理論脚注の支援を借りて、易しい学習課題から順次困難度を上げてゆく教育科学的系統性をもった学習過程を探索し、学校教育の職業教育課程を通じて技術者の育成を図り、貴重な民族服製作技術という文化を後世に継承する方法論を開発する。

 

 脚注:項目反応理論(IRT)の解析は其々の学習すべき項目(技術要素)の絶対的な難易度を計算することができる。技術要素を易しい順から配列することで最適な学習過程を編成することに役立つ。TOEICなどにも応用されている。

 

下田先生説明

カヤン人女性に調査について説明する下田(ミャンマー連邦共和国カヤー州ディモソー郡区サンドゥ村)

 

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