研究課題
科研費

⾥親家庭の⼦どもの⽀援に関する包括的研究

研究代表者

山本 真知子

人間関係学部 人間福祉学科 准教授

研究種目
若手研究
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2026年(令和8年)
山本真知子

 

 近年、日本において児童虐待の増加や育児不安、子育て支援など重要視されるようになってきたなかで、里親制度に注目が集まっている。国連の「児童の権利に関する条約(以下:子どもの権利条約)」の第20条にある子どもが実親と共に生活することが難しい場合は、養子縁組や里親のような代替的な家庭の中で子どもが育つ権利を持つことが示され、国がその環境を提供することが示されている。児童虐待の相談件数が右肩上がりで増加する中、2016年に児童福祉法が改正され、国は子どもが実親と生活することができるように支援するとともに、もし実親と別れて生活する場合は、家庭と同様の養育環境における養育を優先していくことが示された。日本は子どもの権利条約に1994年に批准したが、多くの先進諸国と比べると日本は第20条に示されている家庭と同様の養育環境となっている里親や養子縁組のもとで生活する子どもが、社会的養護に置かれている子どもの割合のなかで約2割と非常に低く、約8割は施設での養育となっている。そのため、近年日本では里親委託推進の動きが活発化し、児童相談所だけではなくフォスタリング機関(里親包括支援機関)等の支援も増えている。
 これらを踏まえ、本研究では、2016年の児童福祉法改正前後から様々な政策が進められてきている日本の里親制度における子どもの支援に着目した研究を行う。これまで国内の里親支援に関する研究や実践は主に里親を対するものが中心である。里親制度は子どものための制度であるため、里親や実親への支援だけではなく、里親家庭の子どもの支援の検討をすることはとても重要である。また、本研究は委託された子どもだけではなく、共に里親家庭で生活する子どもへの支援にも着目する。本研究の目的は、国内外の他分野や他領域で行われている子どもの支援の取り組みを調査しその支援内容や課題を明らかにし、里親家庭で生活した経験者へのインタビュー調査をすることによって里親家庭の子どもの必要な支援を明らかにする。そのうえで、里親家庭の子どもそれぞれの年齢や課題に対する新たな支援を検討していく。
 里親家庭の子どもの支援は、個別の支援だけではなくピアサポートやアドボカシーといった視点からも、委託児童、実子、養子等の里親家庭で生活する子どもたちの年齢や背景などに対応することができる支援を明らかにしていくことで、他領域の支援を里親家庭の子どもの支援に応用し新たな支援方法を提案していくことを目指す。

 

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