研究課題
科研費

⼤規模スクリーニングで得た出芽酵⺟局在化RNA、MSA1 mRNA及びEGD1 mRNAの解析

研究代表者

⽵内 知⼦

短期大学部家政科 教授

研究種目
基盤研究(C)
研究期間
(年度)
2023年(令和5年)2025年(令和7年)
⽵内 知⼦

 

 私は、真核生物のモデル系として、単細胞真核生物である酵母を用い、局在化RNAの研究を行っています。生物の基本単位である細胞の仕組みを研究する上で、酵母は、技術的に実験が容易な優れた研究対象です。
 細胞が持つ遺伝情報は、遺伝子の本体であるDNAからRNAに写し取られて発現します。そのため、RNAの細胞内局在化は、遺伝情報を空間的に制御するための重要な現象です。RNAの局在化により、細胞内では情報の偏りが生じ、細胞の極性形成や分化が誘導されます。私は、出芽酵母を用いて、局在化RNAの大規模スクリーニングを行い、細胞内で特異的な局在を示す新規の局在化RNAを多数発見しました。本研究では、これらの新規局在化RNAのうち、出芽酵母の娘細胞の先端(bud-tip)に局在するMSA1 mRNAと、細胞質に塊状の局在を示すEGD1 mRNAについて解析する予定です(下図)。MSA1 mRNAは細胞周期のG1期の進行に関わる転写因子をコードしています。EGD1 mRNAは、シャペロンという、蛋白質の立体構造を維持するのに必要な因子をコードしています。これらのmRNAの局在化機構および局在化の生理的意義を明らかにすることで、RNAの局在化の新たな機能を解明したいと考えています。
 細胞周期のG1 期進行のメカニズムは、酵母と哺乳動物などの高等生物との間に、多くの共通点があることが報告されています。また、EGD1 mRNAがコードするEgd1蛋白質は、ヒトを含む幅広い生物に保存されています。これらのことから、本研究で得られる新たな知見は、様々な生物に応用できる可能性が高いです。また、本研究により、MSA1 mRNA及びEGD1 mRNAの局在化を人為的に操作できるようになる可能性も考えられます。将来、RNAの局在化操作により、細胞周期やシャペロン機能の制御が可能となれば、医療分野や農業分野等への幅広い応用が期待できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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